おかし・な・ごはん 山岡ひかる
- 山岡 ひかる
- おかし・な・ごはん
起きてきて朝食のテーブルを見たぼくはびっくりしてあくびが途中で止まっちゃった。
並んでいたのはお茶碗に入ったクッキー、大きなショートケーキ、チョコレート・・・
「ねえ、おかあさん これ、どうしたの?」
「わかんないこと いってないで はやくたべなさいよ」
朝ごはんがお菓子?いったい何が起こったんだろう?
不思議に思いながらもお菓子の朝ごはんを食べて、学校に行くぼく。
ところが給食も信じられないことにシュークリームにチョコレート、プリンにフルーツ牛乳。
朝も昼もお菓子だけなんて誕生日にだってありません。こんなラッキーなことってめったにないから、もしかしたら今日のおやつはものすごい豪華版かもしれない。楽しみに帰ってきたぼくに用意されてあったおやつは・・・ちいさなおにぎり2個。
ところが夕飯はまたもやお菓子、お菓子、お菓子!!その日から毎日3食ともご飯は全部お菓子で、おやつはハンバーグやオムレツ、エビフライ。でもおやつだからほんの一口か二口だけなのです。
おやつのハンバーグを二口で食べてしまったぼくは
「おかわりしてもいい?」
とお母さんにききます。
「こんやはごちそうなのよ~。 たべられなくてもい~の?」
夕飯に現れたのはおかあさん特製の超巨大ジャンボパフェ。おかあさんは倒れないようにそうっと運んできました。ぼくはうれしくてうれしくてそのジャンボパフェをあっという間に平らげてしまいます。
ダメだろうなあ・・・と思いつつ「おかわりしても、いい?」とおかあさんに聞いたら
「なにいってるの。どんどん食べなさい!」
おとうさんは
「えらいぞっ!たくさんたべて おおきくなれよっ!」
と頭をなでてくれるし。
いったいどうなってしまったのでしょう。
そしてとうとうごはんがお菓子になって一週間がたちました。
今日のおやつは一口で飲み込めそうなカレーライス。
「ねえ、おかあさん、カレー、もっとたべたいよ」
「だめよ。ばんごはん、たべられなくなるでしょ」
「ちゃんと ごはんも たべるからあー」
そのときぼくは思い出したのです。
この前のカレーの日、「ごはんもちゃんとたべるから」って言って、おやつのケーキを2つも食べてしまったこと。
その後夕飯のカレーはほとんど食べられなくて残しちゃったこと。
ぼく、あのとき おかあさんに「ごめんなさい」って いったっけ?
おかあさん、あのとき かなしそうな顔してた・・・
もう、おかあさんのカレーライス、おなかいっぱい食べられないのかもしれない。
あのとき のこしたカレー、いま たべたいよぉ。
「おかあさん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
次の朝、ぼくが目を覚ましたときに聞いたのは、トントン、トントン・・・。おかあさんの包丁の音。それとおみそ汁のにおい。
あわてて台所に行くとテーブルにあったのはマヨネーズのかかったツナサラダと、とろっとした黄身の目玉焼きでした。
「おかあさん!お菓子ってさ、やっぱりおやつだよね」
おかあさんはくすっと笑って
「あたりまえでしょ」
と言いながらフライパンで焼いていたあつあつのウインナーをさまして、ぼくの口に入れてくれました。
その日のお夕飯はもちろん!大好きなカレーライスでした。
う~ん・・・これっていわゆる「食育」の本なのかな?
でも、あまりにお菓子がおいしそうで、大人でさえ足を踏み外してしまいそう。ほとんど描いてある絵と間違えそうなほど精密な貼り絵で描かれているお菓子たち。ものすごくキレイでおいしそうなんです。
「お菓子ばっかり食べてちゃダメでしょ」
って親サイドの意見を振り回すより、こういう絵本で攻めるほうが子供には伝わるんじゃないかと思いきや・・・
「いいなあ~この子!うらやましい!!オレも毎日お菓子でも全然平気!」
「え、だって白いごはん食べられなくなるんだよ、お前耐えられないよ、絶対」
「ううん、平気!」
・・・まあ、3食とも全部お菓子なんて絶対にありえないとわかってて言ってるんでしょうが。
そのくらい絵が素敵です。難しいこと抜きで楽しんだほうがいい絵本みたいです。
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